壱月、島の旅
サトウキビの花が西日の光を受けて咲いていた。
白い花は逆光の光で黒い人の影のように見えた。
風も無くサトウキビはじっと立っていた。
戦前戦後を、いやもっと昔からじっと耐えて生きてきたであろう人たちのように。
サトウキビは竹のような堅い皮の中に甘い蜜を溜めている。
暑い日差しと台風の強い雨と風に逆らうこともできず過ぎ行く季節の中で立っていた。
サトウキビは白い花を咲かせている。
今、サトウキビは鎌で刈り取られた。
ダンプに積まれ、製糖工場で全てを搾り取られた。
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