壱月、島の旅

前浜ビーチの砂浜に足跡が付いていた。
あっちからこっち、こっちからあっち、向こうからこっち、こっちから向こうへ。
足跡が人の存在の痕跡を残していた。
ヤドカリも潮の引いた砂浜を巣穴から這い出し歩いていた。
いや這い出して歩いた痕跡を砂に残していた。
少し濡れた砂浜にしっかりと刻み付けられた足跡も
上る陽ざしで干されればさらさらと風に吹かれて消えていく。
砂浜の向こうの朝日の中に来間大橋が海を渡る大蛇ように見えた。

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